Soundless Words

めんどくさい彼と彼女

ニコイチだと戦闘でつらくね?不意にそう訊ねたことに理由はなかった。ただなんとなく。自分ら貴銃士との出撃がある一人の女の兵と、エフは共に出撃することがわりと多い。仲も悪いようには見えない。だからこそ、戦闘のときにそちらへ意識が向いたりしないの…

Enchantée

世界帝が特異な超常の力を得たというのは、以前に聞いたことがある。下の兵には、あまり詳しくは知らされていないけれど。その力によって、軍の保持する銃から不可思議な存在を顕現させた。銃から人の姿として現れたその者たちは現状『貴銃士』と呼ばれ、レジ…

私とあなたと

撃たれた。それはわかった。そこからは記憶が曖昧であまり覚えていなかったけれど、目を開いた時には世界帝府の医務室にいた。体が痛む。当たり前か。そこで改めて、ああ、そういえば私は撃たれたのだった、とどこか他人事みたいに考えていた。 「…

Make up for me.

化粧は得意ではない。元々あまり興味がないことで、軍に属している者だから必要も感じない。その上、たいていがガスマスクを着けているのだから意味がない。しかし今回はやむを得ない事情があるので、間に合わせのコスメで適当に肌を彩る。 「………

使える愚図

「なぁに、またアンタも付いてくるの?」 出撃のために軽く支度をしていると、エフが断りなく部屋の扉を開け放ってきた。マナーとしてノックぐらいしろよと思いつつも、こういうのは一度や二度ではない。大人の対応でスルーしてやり「うん」と返事…