シャルルヴィル(無印)

移りにけりないたづらに

貴銃士という格式高いような名称で呼ばれたとしても、自分らはそこはかとなく人間臭いと思っていた。皆、各々で悩みを抱えたり、それを乗り越えていこうと奮闘している様を見てはそう思わざるを得なかった。シャルルヴィル自身もそうだった。感情も五感もあっ…

愛溢れる救世主

言うつもりなんて微塵もなかった。意識してそういう風に思っていたわけでもなかった。 「……逃げたい」 口をついて出た言葉が自分の耳に届く。聞こえてから気が付いた。私は今、何を言った。はっとして顔を上げる。衛生室の掃除を手伝…

いいこな君は少し泣く

体温を感じると安心できる。ただの人恋しさからそう思うのかもしれないけれど、なにかの本で「ハグをするとストレスが減る」なんていう情報を見たことがあった。だからこうして抱きしめてもらって安心するのは、ただの気分的な話ではないのだろう。ちゃんと心…

原動力という名の

あとどのくらいこうしていればいいだろう。シャルルヴィルは天井を見上げてぼんやりと思った。貴銃士としてこの体を得てからかなり経つが、どうにも体の痛みというものはやはり慣れなかった。今回の出撃ではかなり苦戦した。自分のみならず、他の貴銃士も傷を…

puppy love

申し訳ないことに、最初に思ったのは「ちょっと軽そうなひとだな」ということだった。もちろん、私たちレジスタンスの力になってくれるひとだというのはよくよく理解してはいた。けれども、彼と同時に呼び覚まされたブラウン・ベスの生真面目な騎士道精神を間…