変幻螺旋

従者の底意3

サトシとキッドが、オレンジの物体に呑み込まれた。も同様に呑み込まれようとしている。自分は何をしているのだ。レジスチルにがっちりと拘束されたままで、彼らが呑み込まれるのをただ見ているしかできないのか。 『……っ!』 レジス…

従者の底意2

しばらく経ってから、マサトと一緒にがやって来た。慣れた、というわけではないが、当たり前のようにステラから目を逸らす。そんな後ろめたさで一杯だったところにマサトから手渡されたのは、チョコという初めての食べ物である。その甘さは不思議と口元が上が…

従者の底意1

※こちらと連動しているようなしていないような。 リンク先を未読でも問題ありませんが、一部の描写に違和感を感じる可能性があるのでご注意ください。   目を開いた所は、自分の知っている城と同じであって違っていた。か…

分岐と交差

キッドの車でオルドラン城へ戻ると、サトシ共々アイリーン女王から強く抱きしめられた。はじまりの樹の異常は城の結晶へも伝わっていたようで、女王は相当心配してくれていたらしい。 「あ……、みんな、あれ!」 マサトが指差したのは…

波導の勇者

ルカリオがミュウに向かい合った。 『波導は我にあり……!』 先ほど見た映像のように光の玉がミュウを包むが、それはすぐに弾けてしまった。 『っ、私の波導だけでは足りない……!?』「ルカリオ、俺の波導はアーロンと同…

危機と真実

主人が、いなくなってしまった。が溶け込むようにして消えた地面を叩くが、自分の手が痛くなるだけで何も起こらなかった。 「ワウ……、ワウ……ッ!」 名前を呼んでも、ガーディの声がそこに響くだけで返事もない。 『………

再会と再離

『サトシ、!』 ルカリオたちがこちらへ来た。グレイシアもムウマも、ガーディが無事に戻ってきたことにとても嬉しそうだ。 「俺、ピカチュウに会えたぜ! ピカチュウ、ルカリオだ。ここまで案内してくれたんだぜ」「ピカピカッ」「ガ…

二人の無茶

「ルカリオ!?」 悲鳴にも似た声が飛び出した。なんで。嫌だ、嫌だ……!しかし全員の焦りとは裏腹に、オレンジの物体はルカリオを呑み込まずに地面へ消えていった。 「あ……」「ポケモンは、バイキンじゃないってわけね……」&nb…

追跡と逃走

光が見えて通路を抜けた先は、予想もしない景色だった。清純な水がいくつもの滝となって流れ落ち、生える植物は澄んだ空気を生み出している。その上からは巨大な結晶が太陽のように光を放っていた。 「綺麗な所……」 しばらく言葉を失…

君との約束

翌日になり再び車を走らせると、もうかなりはじまりの樹へ近づいていた。やっと近くまで来れた、と思っていると車が急停止した。がフロントガラスを覗くと、先導していたルカリオが立ち止まっている。 「ルカリオ、どうしたんだ?」 全…

対話で対論

どうしようかと今さらになって考えている間に、木にもたれているルカリオが見えた。を視界に捉えたルカリオは、それが当然であるかのように顔を逸らす。も昼間ほどはそれが気にならなかった。慣れとは怖い。いいや、ここまでくればもう開き直ろう。そう思うと…

悲痛な衝突

間欠泉を抜けた少し先で今日はキャンプをすることになった。相変わらずルカリオはこちらに入ろうとはせず、少し離れた場所にいる。火を囲みながら、なんとなくこれまでの旅の思い出話になった。 「ピカチュウって、俺と最初に会った時は今とは違っ…